広島からスペインへ渡る折り鶴再生紙

広島に集まる折り鶴のその後

広島市平和記念公園にある「原爆の子の像」には、日本はもとより世界各国から平和への願いを込めた折り鶴が捧げられ、その数は年間約1千万羽、重さにすると約10万トンにも及ぶそうです。その折り鶴たちと、毎年絶えることなく集まっていく平和への想いは、いったいどう扱われ、どこへ向かうのかをご存知でしょうか。

原爆の子の像

以前まで折り鶴はそのまま倉庫に保管され、一部状態が悪くなったものはやむを得ず処分されていたそうです。それらを活用しようという取り組みが2000年以降活発化し、やがて民間企業の尽力が加わり、折り鶴を再生紙へと蘇らせるプロジェクトが本格始動していきました。2011年にはついに折り鶴の昇華=美しい再生紙へと蘇らせることに成功。現在はさまざまに形を変え、折り鶴再生紙が多方面で活用されています。

 

折り鶴再生紙からできた折り紙。平和への願いが散りばめられたこの折り紙でまた折り鶴が折れるという、長く伝え残していきたいリサイクル作。


「平和おりひめ」と名付けられた折り鶴再生紙。カラフルな折り紙の色が混ざり合い、質感といい風合いといい、非常に魅力があります。(企画・製造・販売を手がけているのは広島市の木野川紙業株式会社)。

平和おりひめ公式サイトで再生紙について詳しく見ることができます。

 

折り鶴再生紙ができるまで

託された想いを大切にするため、折り鶴は丁寧に手作業で扱われています。まず、障がい者施設「皆賀園」の皆さんが千羽鶴の糸やクリップなどを1つ1つほどき、その後、静岡にある富士共和製紙株式会社へ。

(画像:木野川紙業株式会社公式サイトより)

工場では地下から汲み上げた富士山の雪解け水を使用して折り紙を溶かしていきます。自然の岩壁を通って濾過された水は、透明度が高く、飲み水としても高品質なもの。1年中温度と水質が一定であるということも、紙の仕上がりに影響しているといいます。薬品は一切加えず、原料であるパルプ材のあるがままの生成り色を活かし、繊細な技術によって折り紙の破片をほどよく散りばめて仕上げられた温かみのある再生紙。
富士の麓という立地の良さ、そして長年の実績を持つ製紙メーカーであり、また深い信念を持つ井出篤志社長が牽引する富士共和製紙株式会社が広島の折り鶴再生紙プロジェクトに加わっていることも、この再生紙「平和おりひめ」が持つ独特の美しさの実現に繋がっているのです。

多方面での活用

折り鶴再生紙「平和おりひめ」は、原爆資料館の観覧券や冊子、広島市内の学校の卒業証書などに活用されています。
2016年にオープンした「おりづるタワー」で取り扱われている再生紙の折り紙セットの中にも。

おりづるタワー
広島県広島市中区大手町1丁目2-1
TEL 082-569-6803

2016年オバマ前大統領が来日した際、広島の原爆資料館で記帳したその紙も、折り鶴再生紙でした。

実は折り紙とのゆかりの深いスペインでは、サラゴサにある折り紙博物館内で、この「平和おりひめ」を使った折り紙アートが展示されています。(スペインと日本の「折り紙繋がり」については、こちらをご覧ください→)

その他にも、賀茂泉 純米酒のラベルや「髙津堂」のもみじまんじゅうの箱など、活用の場は実にさまざま。

一般にも和紙、名刺用台紙、一筆箋などを製造元である木野川紙業株式会社のWEBサイトから注文することが可能です。

元祖もみぢ饅頭の店『髙津堂』では、
この小箱を用いたもみぢ饅頭が販売されている
(画像:木野川紙業株式会社公式サイトより)

 

折り鶴が広島へと集まり、その思いが再生紙としてさまざまに形を変えて広島から世界へ…。

平和への願いがこもったこの繋がりが、さらに広がっていくといいですね。

  • Information

    富士共和製紙株式会社


    〒419-0202
    静岡県富士市久沢1丁目1−2
    TEl: 0545-71-1400
    http://www.fujikyowa.co.jp/
  • 折り鶴のほかにもさまざまな原料を再生紙に活用し、新たな可能性を生み出している製紙メーカー。伝統を守りながら挑戦を続けていく社長さんのお人柄もすばらしいです。